保護者の皆様へ


※岡山大学の学習支援・研究の手続き上、学習開始にあたって、こちらの説明を熟読いただき、申込書をご提出いただくことを必須としています。ご提出いただけない場合はこちらのe-Learning学習サービスを受けることができませんので、疑問や質問等があれば学習者の所属機関(学校・行政等)を通じて事前にお問い合わせください。(こちらの内容は別紙にてご案内しており、こちらからダウンロードしていただくこともできます。)





◆マイクロステップ・スタディ導入の目的

 本事業(研究)では、学習者の知識習得と学習意欲向上が科学的に証明されている、高精度ビッグデータを活用した一問一答式のドリル型e-Learning(以下:マイクロステップ・スタディ)を提供します。マイクロステップ・スタディの主目的は、授業を補強する形で、学習者のみなさんの英単語の意味などの基礎知識の獲得を支援することです。また、e-Learningにより収集されるデータは、最適な学習法を解明していく研究等様々な分野においても、非常に利用価値の高いデータになります。そのため、収集されるデータは、個人が特定できないよう匿名化の処理を行った後、岡山大学 大学院教育学研究科 実践データサイエンスセンター(以下:センター)の責任下で適正に管理・運用し、社会全体で広く共用していくことを目指します。

 

◆マイクロステップ・スタディの概要

 次のような学習を個人もしくは所属機関指定の端末(スマホ・タブレット・PC等)で行っていただきます。学習は対応したインターネットブラウザさえ利用できれば、どんな端末でも行うことができます。

  

1. 学習コンテンツについて

 実際に提供するコンテンツは所属機関によって異なります。マイクロステップ・スタディのメインコンテンツである「英単語の意味の学習(高大英単語)」では、市販の英単語学習教材9冊に収録されている英単語のうち、3冊以上で重複して掲載されている英単語の意味を問題として提供しています。さらに、日本語訳の選別や難易度ランキングの推定は、13の国立大学の1,2年生を対象にした調査結果に基づいており、TOEICの難易度にもほぼ対応しているため、TOEICの学習の目安とすることもできます。

 なお、小・中学校で学ぶ英単語も揃えていますので、ご要望に応じて、過去の積み残しをクリアしていく復習用コンテンツとしてご提供することもできます。その他、小・中学校では教科書で使われる「難しい漢字の読み」や「英単語の意味」、漢字検定で出てくる「四字熟語の意味」等のコンテンツをご提供できる他、教材会社から今後新たに提供されるコンテンツを学習教材として利用する場合があります。

 

2. 学習方法と結果のフィードバック(英単語の意味を覚える学習の場合)

 学習者には単語カード的な学習を岡山大学より提供されるe-Learningシステムを使い、決められたスケジュール(1日あたり最低10分程度)で行っていただきます。

 右図のように英単語が発音とともに表示され、次の画面で日本語訳が出てきます。無理に覚えようとせず、英単語とその意味を見て、自分の習得度合いを自己評定(判断)するだけの繰り返しが学習となり、短時間で完結します。

 さらに、5日に1日のペースで選択式の確認テストが出現するほか、毎日の学習の最後に、意欲や勉強に対する意識等を調べるアンケート項目に数問ずつ回答していただきます。

 学習結果は、学習者ごとに成績のグラフが記載されたフィードバック冊子を作成し、通常1ヶ月に1回程度の割合で学校等を通じて配付します。学習者自身や保護者等が事前に登録したメールアドレス(複数の宛先に送信可)にも同様の結果の配信を予定しています。その場合はWEB上でも学習結果を確認することができます。

 

3. 学習者に行っていただくこと

 学習者には、上記の学習を1日あたり最低10分程度、学校の授業や課外、自宅等で継続していただきます。e-Learningはスマホ・タブレット・PCなど、インターネットに接続できる環境があれば、いつでもどこでも利用可能です。1日10分程度の学習でも長期間に渡りコンスタントに継続すると、一気に長時間取り組む場合よりも4倍も効率的であるというデータも出てきていますので、とにかくコツコツと勉強することがポイントです。また、学習とは別に独立したアンケートにご協力いただくことがあります。

 

4. 期待される成果とフィードバックの活用方法

 ほぼ全ての学習者において、下図のグラフ(本人は自覚できない日々の学習の成果の積み重ね)のような成績の上昇が描き出されます。そのグラフを手にすることで学習者は「やればできる」ことを実感し、確実に意欲が上昇します。当初の成績がそれほど高くない学習者も、成績は確実に上昇し、そのグラフを手にすることで学習を継続しようという意識が向上し、学習の積み残しを独力でクリアできることも明らかになっています。また、岡山大学では、英語力全般を測るGTECの成績(リーディングとリスニング)にもマイクロステップ・スタディの学習が明確な効果を持つことも明らかになりました。データから考察すると今後、総合的英語力を更に上げる、より効率的な学習スケジュールを特定できる可能性も出てきました。

 フィードバック冊子は自宅に持ち帰る他、グラフはメールで通知されるWEBページで共有できますので、ご家族等が学習者のがんばりを見て、認めたり、褒めたりできるようになります。それにより、小学生では親子関係が良好になることも明らかになっています。また、今回提供するe-Learningは、最新の研究成果を基に、実力のレベルで語彙や知識の習得ができたと判断された問題が自動的に学習リストから除外される仕組み(個別最適化機能)を取り入れているため、民間の学習アプリやサービスでは実現できない次元で、効率よく、また着実に英単語の意味の習得を進められます。


◆e-Learning実施に必要な個人を特定し得る情報の取得と取り扱いについて

 e-Learningの提供と指導、データ解析および結果のフィードバックに必要な、最低限の個人を特定し得る情報(管理番号、学年・組・出席番号のみ)を所属機関(学校・自治体等)からセンターへ提供を受け登録させていただきます(氏名はセンターへ提供されません)。その情報の管理は、センターおよび学習者の所属機関が責任を持って行います。なお、学習結果のフィードバックに電子メールを利用する場合には、メールアドレスも個人を特定し得る情報として扱います。

 提供を受けた個人を特定し得る情報は、インターネットから独立した専用の記録装置に保存し、岡山大学内の鍵のかかる部屋にて学習者の卒業までの期間厳重に保管の上、その後消去いたします。また、e-Learning開始後に個人を特定し得る情報を取り扱えるのは、岡山大学の研究実施責任者*および研究実施責任者が監督する岡山大学の関係者のみです。

 

◆e-Learningで収集される学習データ等の取り扱いについて

 本e-Learningにより収集される学習データ等は、個人を特定し得る情報と切り離し、それ単体では個人を特定できない形で記録・保存します。これらのデータは、学習者の支援や所属機関の指導に用いますが、最適な学習法を解明していく研究等にとっても、非常に利用価値の高いデータになります。そのため、収集されたデータは、学習者の支援と教育に資することを目的に、個人が特定できないよう匿名化の処理を行った後、センター及び連携する機関で研究等に利用します。その研究成果等の公表にあたっては、全てのデータを統計的に処理した上で個人が特定されない形に加工し、さらに所属機関に承諾を受けます。

 また、そのデータはさらに匿名化の処理を施し、可能な限り社会全体で広く共用できるようにします。ただし、最終的に匿名化された後のデータについても、安易に第三者へ提供せず、将来に渡り個人が特定されないようにする他、社会に与える影響などを考慮して提供する予定です。

 なお、最終的な匿名化の処理を行った後のデータは、センターでも個人を特定することが困難になるため、データの削除や利用停止のご要望にはお応えできなくなります。これらを踏まえ、第三者へ提供可能なデータの管理と運用に関しては、センターおよび連携機関にご一任いただく予定です。

 ※匿名化されたデータの利用については別途説明を加え、データ利用に同意いただく手続きを取らせていただきます。今回の参加申込を行っただけで、匿名化したデータをセンターと連携機関以外の第三者へ提供することは一切ありませんのでご安心ください。

 

◆外部試験成績等の付加的情報の提供・利用について

 より効率的な学習法や新たな教育支援技術を研究開発していくため、e-Learningで収集される学習データ等とは別に、学校等で実施される定期テストや外部検定試験等の成績、普段の学校生活に関わるアンケートデータ等、付加的な情報の提供を所属機関に依頼し、所属機関が許可した情報を分析に利用する場合があります。具体的には、e-Learningの学習状況(学習ペースや成績等)と外部試験等の成績との関係を分析し、より効率的な学習法を明らかにし、学習者の支援に活用することや、学習意欲等の意識変化と学校行事や生活指導のタイミング等との関連を分析し、学習者に寄り添った支援技術を研究開発する等の活用を想定しています。また、これらの付加的情報を用いた分析結果を、論文や学会発表、プレスリリース等で公表する場合は、全てのデータを統計的に処理した上で個人が特定されない形に加工し、さらに所属機関に承諾を得たうえで公表します。

 これらの付加的な情報を取り扱えるのは、センターの研究実施責任者、研究実施責任者が監督する岡山大学内の関係者および連携研究者のみとし、その他の第三者は利用できないようにします。なお、連携研究者へ当該データを提供する場合は、連携研究者が上述したセンターのデータ管理の方針に従うこと、およびデータに関して機密保持を遵守することを、センターと連携研究者との間で契約を結んだ上で、データを匿名化し、個人が特定できない形に加工して提供します。

 

◆保護者の皆様へのお願いと免責事項

 保護者の皆様にも簡単なアンケートに答えていただく場合があり、可能な範囲でご協力をお願いしております。その際に取得されるデータの扱いは、上記学習データの取り扱いと同じ方法によります。

なお、今回のe-Learningへの参加申し込みをいただけない場合、他の学習者と同じような個人ごとの成績のフィードバックを受けることができなくなり、学習者の不利益となる恐れがあります。e-Learningの趣旨と内容および各種データの取り扱い等についてご同意の上お申し込みくださるようお願い申し上げます。今回のe-Learningへの参加や、データの扱い等に関するご質問・ご不明点等がありましたら、申込書の提出までに下記の研究実施責任者およびセンターまでご連絡いただき(担任の先生を通じてお問い合わせいただいても結構です)、必ずご納得の上でお申し込みください。

 また、マイクロステップ・スタディの学習中に発生した事故や障害等に起因するいかなる損害も、岡山大学では一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。特にスマートフォンを使用して学習を行う場合は歩きスマホは絶対に行わず、目の悪くなるような暗い場所や至近距離での使用はさせないよう保護者の皆様からもご指導くださいますようお願い申し上げます。

 


  • 本事業(研究)の研究実施責任者および質問等の連絡先は、次のとおりです。(担任の先生を通じてお問い合わせいただいても結構です。)/ 研究実施責任者:寺澤 孝文(岡山大学学術研究院教育学域・教授)
    
Mail:micsp999(@アットマーク)okayama-u.ac.jp(実践データサイエンスセンター)
  • 本研究は、岡山大学大学院 教育学研究科 研究倫理委員会の承認を得て行われています。研究の内容以外の研究者の研究倫理等に関する御質問は、岡山大学大学院 教育学研究科 庶務グループ研究倫理担当へお願いします。

    Mail:ed-contact(@アットマーク)adm.okayama-u.ac.jp

◆暗記学習を推奨している訳ではありません

 

 今回提供するe-Learning学習は、単語や語彙を習得することを目的としていますが、「勉強は暗記すれば良い」という事を推奨している訳ではありません。我々が目指しているのは右図ような教育です。単語や語彙といった、日々の繰り返し学習で習得できるのもは、学校の「授業」から切り離し、創造的な思考力やコミュニケーションといった社会で本当に必要な力の育成に、もっと授業の時間を使って欲しいと考えています。

 そして、生身の人間である先生からしか学ぶことのできない、社会で生きる力こそが本当に必要な教育だと考え、このようなe-Learningを提供しています。

 保護者の皆さまにおかれましては、この趣旨をご理解いただき、今回の取り組みにご賛同くださいますと幸いです。